*湯けむりのなか

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 その声に耳からゾクッとした快感が背中を突き抜けて、瞬間、トロリ、と足を蜜が伝うのを感じた。 「……っ」  息を吐き出しながらその快感を流そうとしたら、それを許さないとばかりに、彼の手が足の間に伸びてくる。  私を抱え込むようにして前から伸ばされた彼の手は、私の限界まで張り詰めた秘芽を暴くと、緩急をつけて刺激し始める。  そのまま私の吐き出した(ぬめ)りを確認するように、彼の指が谷間に沿って這ってくると、 「あ、あんっ……」  恍惚(こうこつ)とした心地よさに、抑えたくても声が漏れてしまった。  お風呂場の中で、お湯の(あふ)れ落ちるちょろちょろと言う音と、私のはしたない嬌声(きょうせい)と、理人(りひと)が前を触る、クチュクチュと言う水音が混ざり合って、私は何も考えられなくなる。 「葵咲の中、すごく……熱いね……」  理人が私の中に指を差し入れながら、耳元で熱を吐き出すようにそうつぶやく。 「んっ、やっ……、言わない、でっ」  これ以上(はずかし)められたら、私は消えてなくなってしまう。  体温がいつもより高く感じられるのは、お湯に浸かっているせいだと、どうして言えなかったんだろう?  理人の指が、いつもより熱を帯びて感じられるのだって、きっと温泉のせいなのに。  身体から引き抜かれる彼の指を感じながら、ぼんやりとそんな言い訳めいたことを思う。  と、次の瞬間、彼の指なんて比べ物にならないくらい固く熱を帯びたものが、今理人(りひと)の指を吐き出したばかりの穴にあてがわれた。
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