理人の想い

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 彼は、そんな私の頭を何も言わずにずっと撫で続けてくれて――。 「理人(りひと)、私も……」  ややして少し気持ちが落ち着いた私は、涙を拭って、理人からもう1つのリングを受け取ると――。   彼の、左手の薬指に()めた。  それはすごく、すごく、ドキドキして幸せな瞬間で――。  二人で指環をした指を見せ合って、自然と笑顔になる。  たったこれだけの輪っかで、なんて幸せな気持ちになれるんだろう。  理人がくれた、理人とお揃いの指輪だから……。  それが、私にとってものすごく大きな意味を持つんだと、どうやったら理人に伝えられるかな?  私は、無意識に指輪と理人を交互に見比べた。  こんなにも幸せな気持ちにしてくれる理人に、私は何を返してあげられるだろう?
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