*ちゃんと私を感じて欲しい

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理人(りひと)、……したい、な?」  私は初めて、彼に抱きついて自分から彼を求める言葉を発した。  今なら……彼が私を無条件で求めてくれる気持ちが物凄くよく分かる。 「葵咲(きさき)……?」  そんな私に、理人が驚いた顔をする。 「さっきみたいに理人が辛そうなのじゃなくて……理人にも幸せな気持ちで……ちゃんと私を感じて……欲しいの……」  私は、身も心も彼のものなのだから――。 「理人、持ってる、よね?」  何が、とは言わなかったけれど、彼はそれだけで分かってくれた。  すぐに(うなず)いて、私を抱きすくめる手に力がこもる。  私が大学を無事卒業するまでは……彼に負い目を感じさせるわけにはいかないから。 「さっきもしたばかりだけど、葵咲、しんどくない? 無理してない?」  聞きながら、理人が優しく私の瞳を覗き込んできた。  私は、理人を真っ直ぐ見つめ返すと、小さく首肯(しゅこう)する。    その意思表示に、私を抱きしめる理人の下腹部から、熱を持ち始めた彼を感じて、私の身体も理人を受け入れる準備を始めたように、甘やかに(うる)みを帯びて香り立つ。  どちらからともなく口付けを交わしながら、我慢できないように、二人、ベッドに倒れこんだ――。  理人(りひと)が、私の上になって、首筋にキスを落としながらウエストで結んだ帯を解く。  帯を失った襟元(えりもと)は、簡単に(くつろ)げられて――。  お風呂上りで下着を何も身につけていない胸が、ほろりと顔を覗かせた。 「あっ……」
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