3550人が本棚に入れています
本棚に追加
涙に瞳を潤ませて彼を睨んだら、理人が慌てたように「ごめん、苛めすぎたね」と言って頭を撫でてきた。
私は、そんな理人を、なおも涙目で睨みつける。
「ねぇ葵咲、そろそろ挿れて……いい?」
ややして、理人に甘くおねだりされたけれど、悔しくて返事をしなかったら、「お願い」と耳元でささやくように懇願された。
「……ゴムは?」
さっきのことがあるから、思わず聞いてしまってから、恥ずかしいことを口走ってしまったことに気付いて赤面する。
私のその様子に、理人がふっと瞳を細めて微笑んだ。
「大丈夫。持ってる……」
真っ赤になった私に、小さな四角い包みを複数個、トランプをババ抜きする時みたいに広げて見せながら、理人が言う。
「とりあえず手元に五つ。鞄に行けばもっとあるから……葵咲さえ望むなら、僕は何戦でもいけちゃうよ?」
わざと私の緊張を解すかのようにそう言うと、くすくすと笑った。
ゴムをベッドの宮に置くと、一旦身体を起こしてから、二人で向かい合うように座る。
前が肌蹴たままは恥ずかしかったので、両手で胸元を合わせるように持っていたら、理人が正面からそんな私をギュッと抱きしめてきた。
「ねぇ葵咲、僕の帯、解いてくれる?」
襟元を握ったままの私の両手をそっと外すと、自分の腰に巻きつけるように回しながらそう問いかけてくる。
最初のコメントを投稿しよう!