*ちゃんと私を感じて欲しい

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 その音が、更に私たちを高みへと昇らせていった。 「葵咲(きさき)っ、苦しく……ない?」  こんなときにも理人(りひと)は私のことを気遣ってくれて――。  唇がそっと胸の突起を(かす)めるくらいの距離で彼に問いかけられて、私は切なくて愛しくて、夢中で彼に腕を絡める。  彼が私を気にしてくれることが凄く嬉しくて、もっと理人を感じたいと思ってしまう。  私は理人に、もっともっとグチャグチャにかき回されて、何も分からなくなるくらい、身も心も(とろ)かされてしまいたい。 「理人……もっとぉ……」  そんな気持ちが、彼にもっと奥まで深く激しく(つらぬ)いて欲しいと、おねだりさせた。 「葵咲の中、僕に絡み付いてくるみたい……。中、トロトロで、めちゃくちゃ……熱い……」  理人から、切なくなるような声音で「すごく気持ちいいよ」って、耳元でささやかれて、私はこの上なく心嬉しい心地(ここち)になる。  私が、大好きな理人を興奮させているんだと思うと、とても幸せで……同時に物凄く照れくさかった。  私が理人を欲しくて(たま)らないと思うように……。そしてこの気持ちをどう表現したらいいか分からなくて、もどかしくておかしくなってしまいそうに感じているのと同じくらいに……。彼も私に夢中になってくれたなら……、女としてこんなに幸福なことってないと思う。 「理人、私、すごく幸せ……」  熱に浮かされたように、途切れ途切れで何とかそれだけは彼に伝えた。  どうしても、その気持ちだけは伝えたかったから。 「僕もだよ……」
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