気だるい身体

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 お風呂の中でほんの少しまどろんでから、私は理人(りひと)に支えられながら何とかお風呂から上がる。  身体中が鉛のように重くて、一刻も早くベッドに倒れこんでしまいたいという衝動にかられる。 「葵咲(きさき)()くさないいうちに」  そう理人に声を掛けられて、指輪を薬指に()めてもらう。 「ごめんね、無理させすぎたね」  言って、彼が私の身体を優しく拭いてくれる。  着替えだけは恥ずかしさも手伝って自力で頑張れた。残念ながら借りていた浴衣は着られそうになかったので困っていたら、理人が自分の荷物の中からTシャツを一枚貸してくれた。  理人の服は私にはダボダボで、Tシャツ一枚で太ももの半ばの辺りまでカバーできてしまう。  まるでミニのワンピースみたい。  鏡に映った自分の姿を見て、ぼんやりとそんな風に思う。 「そういうのも、何かいいね」  彼のTシャツを着た私を見て、理人が微笑む。 「座って?」  そのまま、理人に浴場傍に置かれた丸椅子に座るように促されて、髪の毛にドライヤーを当てられる。  熱風を当てながら理人が髪の毛にやさしく触れるたび、その柔らかな触れ方にうっとりした。 「眠い?」  何となくうつらうつらと舟をこぎ始めたところで、彼がそう問いかけてくる。 「ん……」  何とか(うなず)きながらそう意思表示すると、理人が仕上げに、と髪の毛を(くしけず)ってから優しく抱き上げてくれた。 「ゆっくりお休み」  ベッドに寝かされて、布団を掛けてもらう頃には、私は完全に夢の中だった。
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