約束

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 朝食は部屋食にしてもらっていた。  昨夜のようにお店に移動して食べることも出来たけれど、朝は二人でゆっくりしたいねと話して、予め部屋で取れるようにお願いしていたのだ。  今朝のこともあったし、正直部屋に()もれるのは有難かった。  食事は七時半にお願いしてあったので、一旦部屋に戻って理人(りひと)の着替えなどを済ませることにする――。  結局何だかんだで売店には行けず(じま)いだったけれど、お土産は新幹線に乗るまでに最寄りの道の駅に行こうということになった。  理人が身支度(みじたく)を整えている間、私はスマホであることを検索して、そういう方法もあったのか、と目からうろこだった。 (チェックアウトまでに、ここに書いてあること、やってみなきゃ)  そんなことを思いながら、窓の外をぼんやりと眺める。  実際はお風呂からの景色が一番綺麗なのかもしれないけれど、座卓(ざたく)そばの窓からの景色も割と綺麗で。  見るとはなしにぼんやりしていたら、支度(したく)を終えた理人がこちらに来る。 「葵咲(きさき)、何を見てるの?」  そう聞かれたけれど、窓外に向けた視線は、これと言って何を見ていたというわけではないので、ゆるゆると首を横に振る。 「ぼんやりしてただけだよ……」  そう答えると、 「まだ、さっきの、ショックだったり……?」  理人が背後から気遣うように私の頬に触れてきて。  確かに思い出すと今でもゾクゾクとした悪寒(おかん)(よみがえ)ってくるけれど、理人が傍に居てくれることで、大分落ち着いたと思う。
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