僕の……

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 予約してあったらしく、理人(りひと)が名前を告げるとすんなり席に通される。  今までだって予約を取ってディナーを楽しんだことがなかったわけではないけれど、そういうことをするのにはちゃんと理由があって……例えば何かの記念日だとか、そういう特別な時だけだったはずだ。 「ねぇ理人、今日って……」  何の日だったかな?と尋ねようとしたら、理人に「今日は大安吉日だよ」と返された。ついでのように、「友引でもよかったんだけどね」と(つぶや)く彼に、私の頭は疑問符だらけ。 「魚がメインのコース料理が頼んであるんだけど、なに飲む?」  まるで、そんな私のざわつく心を()らすように、理人がドリンクメニューを差し出してくる。  明日もお休みだし、お酒を飲むのもありだと思うな、と彼が言うので、2人でシャンパンのボトルを頼むことにした。  理人がウェイターさんにオーダーを告げるのを待っている間も、私はソワソワと落ち着かなくて。  チラチラと彼を盗み見るけれど、理人はわざと涼しい顔をして私の視線を受け流しているように思えた。 「理人……?」  堪え切れずに名前を呼ぶと、(みずか)らの口許(くちもと)に人差し指を当ててシーッとする理人。  もう、わけ分かんないっ。  程なくしてワインクーラーの中を満たす氷に包まれたシャンパンとグラスが運ばれてきて、ウェイターさんが手慣れた手つきでグラスに琥珀色の液体を注いでくれる。 「……乾杯」  理人がグラスを掲げてきたので、思わずそれにあわせてグラスを持ち上げてから、何に乾杯なの?と思ってしまう。  と――。
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