華やぐ心のままに

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 私にプロポーズをしてくれてからの理人(りひと)は、今まで停滞していた分を取り戻すみたいに、てきぱきと色々なことをこなしていった。  お互いの家族への挨拶もそうだし、住まい探しにしてもそう――。  理人が元々住んでいたアパートは、単身者用と言うわけではなかったので、それなりに広かった。でも、彼は「部屋数が少なくて不安だから」と、新居を探そうと言い出して。  一緒に暮らしていく中で、例えば喧嘩してしまうことがないとは言い切れないし、そんなときにはお互いに距離を置いて避難できる場所は必ず必要になるから、というのがその理由だった。  理人の言うことを(もっと)もだと感じた私は、二人で新たな住まいを探して歩くことに同意したのだ。  そうは言っても、そこはそつのない理人のこと。(あらかじ)めいくつかに候補を絞ってくれていて、私は彼と一緒にそれらの中から一番気に入ったところを選ぶだけでよかった。  いくつか比べた中で、私と理人がお互い特に気に入ったのは、全室南向きになるように配置された、二十階建てのタワーマンションの九階だった。  少し広めなリビングダイニングとは別に、洋室が二間に、シューズクロークやウォークインクローゼットが完備されたそのマンションは、理人が今まで住んでいたアパートと同じく、駐車場部分がピロティになっていた。  理人の元のアパートでも感じていたけれど、駐車場が屋根の下にあるというのは、雨の日なんかに本当に便利だったから。  場所も、お互いの実家からそれほど離れていなかったのも高ポイントで、ある意味それも決め手になったように思う。
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