■スタ特より『あなたには敵わない』■

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 ふと冷蔵庫の中身のことが気になって、それでもやっぱり外に出るのは何となく躊躇われて。  私はリビングで洗濯物を畳んでくれている理人に声をかける。 「ね、理人(りひと)。今日は家でのんびりするよね?」  窺うように理人を見たら、作業の手を止めて、立ち上がった。 「買い置きの食糧、大丈夫だっけ?」  言いながら私のすぐそばまでやってくると、別に必要もないのに私の腰を抱くようにして、冷蔵庫の扉を開ける。  冷蔵庫には卵やウインナーが、フードストッカーには缶詰やパスタなどが入っていた。  お米も米櫃(こめびつ)の中に、半分以上あったはずだ。 「別に問題なさそうだね。今日は二人でのんびりしようか」  言うなり、理人が私の首筋に顔を埋めるようにして甘えてくる。 「珈琲、いい匂いだね」  言いながら、嗅いでいるのは私の髪の毛なのが理人らしくて、私はクスクス笑ってしまった。  と、いきなり部屋の電気が落ちて、私はびっくりして天井を仰ぎ見る。  さっきまで保温ランプが点っていたはずのコーヒーメーカーも、オレンジのランプが暗くなっているから、どうやら停電してしまったみたい?
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