■スタ特より『あなたには敵わない』■

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「長引いたら寒くなりそうだね」  我が家の暖房設備は、床暖房と、電気ストーブ、それからエアコンのみ。  石油ストーブとか、そういうのがないから電気が落ちたらアウトだ。  理人(りひと)は私の頬にチュッと口付けると、「葵咲(きさき)、温かいうちにごはん、食べてしまおうか。食べ終わったら二人で布団にくるまって暖まろう」と提案してきて。  私はその言葉に頷きながらも何となく照れてしまう。  二人で布団に入ったら……ただ一緒にいる、とかできるのかな?  考えたら耳まで赤くなってしまいそうな気がして、私はフルフルと首を振った。  いや、むしろ――。  逆に何も起こらないように理人の気持ちを逸らしてみたいな、とか思ってしまった。  トレイに、私が用意した朝食を載せて食卓に運んでくれる理人を見ながら、そんな遊び心を胸に抱いて思わず笑みがこぼれた。
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