■スタ特より『あなたには敵わない』■

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「ア、か……。ねぇ、葵咲(きさき)、まさか狙ってるわけじゃないよね?」  理人(りひと)がクスクス笑いながらそんなことを言ってくるものだから、私はきょとんとしてしまう。  狙うって何を?  そう思って彼を見つめたら、理人が私に優しく口づけをくれた。  それから、耳元で「愛してる」と低く優しい声音でささやいてきて。  キスの余韻と相まって、私は心臓がドキドキと跳ね上がった。  でも、これも……よく考えたらしりとりの続きみたいで。  私はぼんやりした頭でなんの脈絡もなく思いつくままに「ルワンダ」とつぶやいた。もう、私、冷静に考えられる余裕が段々なくなってきている。  理人はそれを受けてニッコリ微笑むと私をギュッと抱きしめながら「大好き」って言ってきて。  うぅー、さっきから何なのっ。  部屋は寒いはずなのに、私、どんどん身体が温かくなってきている気がする。
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