待ち合わせ

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「館長?」  と、突然後ろから控えめに声をかけられて、振り向くと鈴木君が立っていた。  僕が天を仰いで立ち止まっていたからだろう。きょとんとした顔の鈴木君に、 「なんか面白い雲だと思ってね」  ぼんやりしているところを見られたのが何となく気恥ずかしくて、言い訳めいた言葉を(つむ)ぐ。  僕の言葉につられるように、鈴木君も上空を振り仰いだ。と、彼の細い身体がぐらりと(かし)いで、僕はびっくりする。立ちくらみだろうか。  慌てて背中を支えると、 「す、すみません……」  彼は恥ずかしそうにうつむいた。  そういえばこの子、あまり身体が丈夫ではないと言っていたっけ。 「中、入ろっか?」  こんなところに突っ立って長居するのも変だし。  僕は鈴木君を(うなが)してエレベーターに向かった。
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