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あれから数日。
葵咲ちゃんがやたらと僕のそばを離れたがらない気がして……嬉しい反面、何か悩み事でもあるのかな?ととても心配になる。
「ねぇ葵咲ちゃん。何か気に病んでる事とかある?」
あえて「どうしてそんなに僕から離れないの?」とは聞かずに婉曲的にそう問いかけたら、葵咲ちゃんがゆらゆらと揺らめくアーモンドアイで、僕をじっと見上げてくるんだ。
「ん?」
その視線にそっと先を促すと、葵咲ちゃんがポツンとつぶやいた。
「理人がいなくならないように見張ってるの」
あのドラマ。
いつも幸せそうに笑い合っていた、仲良しの2人が、彼氏の事故死で突然引き裂かれてしまった。
ドラマはまだ続いていて、ネットで拾い読みした感じだと、残された彼女は、亡くした彼氏に似た別の男性と恋に落ちる段取りが見え見えで。
でも――。
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