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「ね、葵咲、今日はハグの日なんだって。知ってた?」
葵咲ちゃんがお風呂に入っている間、見るとはなしにぼんやりとテレビを観ていたら、コメンテーターがそんなことを言っていた。
そんな素敵な日。口実にしない手はないよね?
僕はお風呂から上がってきた葵咲ちゃんを、背後からギュッと抱きしめて腕の中に収めるなり、そう耳元でささやいた。
「もぉ、理人っ。私っお風呂から上がったばかり、だよっ?」
だから暑いのだと言外に含ませて抗議する葵咲ちゃんに、「うん、汗かいてるね」と答えながらも僕はお構いなしだ。
葵咲ちゃんを腕の中に閉じ込めたまま、リビングのテーブルに置いてある扇風機のリモコンを手に取ると、スイッチを入れる。
エアコンの程良く効いた室内。
扇風機が送り出してくる風も、ひんやりと冷たくて心地よい。
「これで解決だね〜♪」
言いながらリモコンをテーブルの上に戻して葵咲ちゃんのパジャマの裾から両手を差し入れると、ナイトブラを下からたくし上げるようにしてふんわりとやわらかな彼女の胸に手を這わせる。
「やっ。理人の手っ、あつい、っ」
葵咲ちゃんが服の中に差し入れた僕の手を、上からギュッと掴むようにして抗議してきて。
僕はそれを素知らぬふりをしてスルーすると、「葵咲の肌も……いつもより体温高い」とはぐらかすように言って耳元でくすくす笑うんだ。
もちろん、葵咲ちゃんの耳と首筋に吐息が掛かるように計算して。
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