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手のひらに心地よい弾力を伝えてくる葵咲ちゃんのやわ肌は、暑いと訴える彼女の言葉の通りしっとりと汗ばんでいた。
それがまた、手のひらに吸い付いてくるみたいでたまらない。
「大好きな女の子のやわらかな胸を、好きなときに好きなだけ触らせてもらえるのって……何て幸せなんだろう」
うっとりとつぶやけば、「私、そんなの許可してない……」と小さく抗議の声が落とされる。
だからと言って全力で拒否してこないのは、葵咲ちゃんも僕に触れられることを本気で嫌がってない証拠だ。
葵咲ちゃんは言葉裏腹な女の子だから。
「ね、葵咲、このままベッド行こっか」
甘えるように誘ったら「な、んで?」って返ってくるのも、想定の範囲内。
「何で?って。さっき僕、ちゃんと言ったと思うんだけどな? 今日はハグの日だよって」
だから裸で抱きしめ合うのは決定事項。
もちろん、僕は何でもない日だって、何だかんだと理由をつけてキミに欠かさず触れるんだけどね。
けどさ。年に1回。今日ぐらいは「ハグの日」のせいにして、思う存分甘えても構わないよね?
「――葵咲、愛してる」
葵咲ちゃんの小さな身体を、柔らかな胸ごとギュッと抱きしめながら、僕は彼女の真っ赤になった耳元に愛の言葉をささやいた。
END(2021/08/09)
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