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「――理人の、バカ……」
ややして、吐息まじりにそう言って。
「あのぬいぐるみ、理人に似てるって思ったから……だからいいなって思っただけなのに」
聞こえるか聞こえないかの声音でそう付け加える。
――そうでなかったら私、きっと見向きもしなかったよ?
スーツとネクタイを身につけているように見える外見も、優しく微笑んでいるくせに、どこか寂しそうにこちらを見つめる捨て犬みたいな眼差しも。
エプロンをして、本を持っているところも。
みんなみんなアナタを彷彿とさせるから……だから連れ帰りたくなっただけなのに。
自分の幻影に嫉妬するなんて、本当愛しい人。
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