■あなたがいちばん

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 ――ねぇ、理人(りひと)、分かってる? 私には、いつだってあなたがいちばん。妬きもちなんて妬く必要ないんだよ?  だから、さっさと気持ちを切り替えて、私を思いっきり抱きしめて?  理人のことしか考えられなくなるぐらい、強気に私を征服してよ。  アーモンドアイの瞳に「今すぐ私を奪い尽くして欲しい」と熱を込めて見つめたら、理人がほぅっと吐息を落として、性急に葵咲の膝裏(ひざうら)(すく)い上げた。 「葵咲(きさき)。あんなぬいぐるみを抱きしめるぐらいなら、僕に(すが)りつけよ」  そうつぶやいて、横抱きに抱え上げた葵咲を見下ろした理人の表情からは、さっきまでの情けない迷いは跡形もなく消え去っていて。  その瞳には、情事の時にだけ理人が葵咲に見せる強気な光が灯っていた。  葵咲は理人の腕の中、そんな彼を見上げて小さくコクンとうなずいた。      END(2021/09/05〜9/6)
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