■こうして今日も、あなたの甘い罠にほだされる

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「じゃあさ、今から一緒にお風呂入ろうよ」  ――そうして、お風呂上がりには、キミの肌を念入りに薬でケアしよう。 「あ、あの、理人(りひと)。わ、私ね、ひ、ひとりで――」  葵咲(きさき)が真っ赤な顔で言おうとしたら、理人が彼女を抱く腕を緩めて戸惑いに揺れる恋人の顔を真正面から覗き込んだ。 「僕も汗かいてるし、早く流さないと痒くなりそうなんだけどな?」  さっき、理人が痒くなるのは嫌だと意思表示をしてしまった葵咲は――。  そうして自分も背中が痒いのだとバレてしまった葵咲は――。  理人の提案を受けるしかない。  子犬みたいにうるうると濡れた目で眉根を寄せる理人を見上げて、葵咲は今日も彼の甘い罠に(ほだ)される。       END(2021/09/10)
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