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 僕の提案に、彼女はありがとう、と言ってカウンター横の館内階段へ向かった。  僕は彼女の姿が消えるまで見送ってから、当初の計画通りエントランス側のエレベーターで一階に降りる。  入口扉に、外から見えるように「Close」の札をかけると、内側から施錠した。入口付近の電気も落としてエレベーターに乗り込むと、ロビーに戻る。  寸の間逡巡(しゅんじゅん)してから、彼女が今返したばかりの本を手に取ると、館内に向かう階段を降り始めた。  今日彼女が借りていたのは九類「文学」の本。この図書館ではロビーのすぐ下の階、六階に資料が集められている。  彼女がエレベーターを使わなかったことから、おそらく今日もそれほど階下には降りていないと踏んだ僕は、階段を降りながら彼女の姿を探した。
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