選書

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 ミシッという音がして、建物全体がぐらり……と、大きく、揺れた。  あまりに激しい揺れに、僕はとっさに書架に手をついて、素早く葵咲(きさき)ちゃんを抱きしめる。  階が上の方だから、建物自体がしなるようになって揺れが増長されているからだろうか。  振り幅が大きすぎる。これはまずいかも……。  彼女の頭を守るように(てのひら)で包み込む。  そんな僕に、彼女がギュッとしがみついてきた。 「大丈夫だよ」  抱きしめながら耳元でそう言うと、彼女が小さく身じろいだ。  と、次の瞬間、僕が一番恐れていたことが現実になった。  書架が、ドミノ倒しのように、僕たちに向かって倒れてきたのだ。  僕は、覆いかぶさるように彼女を包み込んだ――。
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