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あの子はいつも、いじめられている私を助けてくれる。
あの子は私が大好きだし、私もあの子が大好きだ。
「あなたは私が守るから。」
そう言うあの子は幸せそう。
だけど私は知っている。
私をいじめさせているのは、あの子なんだってこと。
そしてあの子は知らない。
あの子がいじめっ子にお金を渡しているところを、私が見てしまったってこと。
あの子の幸せな顔が見れるなら、私はいくらだって隠し事ができる。
私はいつも、いじめられている彼女を助けていることになっている。
私は彼女が大好きだし、彼女も私が大好きだ。
「守ってくれて、ありがとう。」
そう言う彼女は幸せそう。
だけど私は知っている。
彼女をいじめさせているのは、彼女自身なんだってこと。
そして彼女は知らない。
彼女に見えているのはもう幻想で、私なんてとうに死んでいるということ。
死人を忘れられない惨めな人間と思われながら、彼女は今日も自分に真実を隠し、幸せな顔を浮かべている。
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