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花の影 1
サービスコーヒーを鏡の前に。
それからゆっくり座る・・・
百貨店のパウダールーム、
時計は3時のメロディ。
座ってしまうと遮りを立て
やや個室を作れてしまう。
女性が何かを脱げる空間になる。
髪をギュッと束ねて
首筋を点検・・・
“急ぎのメイク”を
丹念に、丹念に落としていく。
それから優しいイメージになる
ファンデーション、ルージュ。
髪を再び肩まで・・・
襟元のボタンをキチンと閉めた。
ラストにスカートを膝まで上げ
細い脚を映して肌の“汚れ”は
ないかを・・・確認。
「お迎えに行かなくちゃ」
女は子供の進学塾へと急いだ。
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