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男の車が見えなくなった。
男の置いた札束を見つめる。
男が昔から自分を視姦していたことなど、
とうの昔に気づいてた・・・
「中学生の頃かしら・・・」
夏服の柊子をジッと見ていた・・・
「傘を開いたみたいに前を
膨らませていたわ、ふふふ」
悦楽の長椅子に再び身体を沈める。
植物の視線が身体に刺さると
潤いが甦り・・・歓喜する・・・
「・・・堕ちて・・・よかったわあ
いろんな男を味わえて・・・
あのままだったらきっと行儀のいい
男に嫁いで、行儀のいい性交に
ウンザリしていたに違いないもの」
手帳を開ける・・・
「明日は骨董商の老人・・・
驚いたわ、身体は老人でないのだから」
美しく、妖しく微笑んで
ゆっくりと両手を天に伸ばした。
ー 了 ー
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