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ターミナル・ホテル 1
記憶の引き出しなんて
こんなに簡単に飛び出すものか・・・
後ろの席の淡い碧のワンピース、
上品な人妻は・・・
熱い息を吹きかける・・・
たったそれだけで
汗ばむ“果肉”を隠し持ち、
見つめると恥ずかしそうに
両手で“僕”を探してたひと・・・。
僕には妻がすでにいたから
別れてしまった5年前。
見知らぬ男に嫁いだと聞いた3年前、
偶然背中合わせの座席でコーヒー。
華奢な笑い声・・・
艶やかな声の夜が鮮明に・・・。
歯車のように滑らかに
絡んだ君がこんなに愛しい。
眼が合えば、
声をかけずにはおられない
旅先、ターミナルホテル・・・。
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