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逢 瀬
月明かりを頼りに
“君”を探せば
刹那さから乱暴になる。
うなじから零れる匂いに、
襦袢を湿らせる匂いに、
酔う暇など僕達にはない。
足袋もそのままに
裾を割って乱れる
急ぎの逢瀬・・・
人目を盗んだ茶会の東屋
鹿の声に紛れる君の“恋息”
煽られて“僕”は首を擡げる
君が口に含めば
“白酒”は出口をさ迷う。
君と重なれば
千の言葉も失って
僕らは互いを貪り食らう。
頬擦りしても、
一緒に果てても、
君には帰る家がある・・・
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