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汗びっしょりの僕は目を覚まして起きあがった。さっきの衝撃でしばらく息切れしながらぼうっとしていた。あれはなんだったのかと、何度も思い起こした。
しかし隣で寝ている母を見て、ようやく夢だったことに気が付いた。僕はゆっくりと肩を下ろした。
枕元にあるデジタル時計の時刻は3時。おしっこがしたくなってトイレに行こうとすると、膕がチクっとした。脚を開いて見てみると、真っ赤な蕁麻疹が出ていた。寝ている最中、無意識に掻き過ぎたせいか少し血が出ていた。さらによく全身に神経をとぎ澄ませてみると、胸や横腹、肘の裏や首元もむずむずひりひりと痒く、Tシャツをめくってみると赤くぼつぼつの蕁麻疹が出ていた。
夏の夜の―暑さと埃と蚤が―悪夢の正体だった。
僕はわざとどたどたと階段を下りてトイレに行った。虫の音が聞こえてくるトイレの窓から、あのイボイボのオオガエルの手が出てきそうだったので、僕はおもいっきり用を足した。その後、棚からぬり薬を取り出して床まで持っていった。それを全身にまんべんなくぬり、ふたたび床についた。
静かな涼しい風が窓から吹き込んで、寝ている僕の皮膚をすーすーさせた。横にいる母は何も知らずぐーぐーしていた。
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