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お姉さんが、ぽーっと顔を赤くした。
お兄さんは、なんで傘を持ってたことを内緒にしたんだろ?
僕が傘を借りちゃったら、ひとり1本ずつあった傘が、二人で1本になっちゃうじゃないか。
ぐずぐずしてる僕の手に、ぐいぐい傘を押し付けてくる。
「……いいの?」
根負けして、僕はそう尋ねた。
「うん」
にっこり笑ったお姉さんが、こっくりうなずいた。
「私の願いは叶ったから。だからそれ、あなたにあげる」
お姉さんとお兄さんは、お兄さんの黒い小さな折り畳み傘を広げて、くっつくように歩いていった。
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