第一話:凶手と魔女の使い魔契約

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第一話:凶手と魔女の使い魔契約

 ――西暦40XX年、宇宙コロニー『ネオ・ルナ』。  そびえる摩天楼の天辺、凶手に刺された独裁者は血潮を垂らして後ずさる。 「アカツキ甲第五世代型強化人間『我樂號』……よくもやってくれたものだな」  その言葉に対するのは、同じく至る所から流血している凶手だ。 「やってやったさ。とっとと死ねィ」  言葉終わりに凶手は刃を振り上げる。  一閃の出来事だ。容赦も躊躇もない動作で、独裁者の首が、落ちる。 「天誅……」  返り血を浴びる凶手は、肩を弾ませ、そして血を吐いた。  独裁者より撃ち込まれた弾丸は、凶手の体を崩壊させ始めていたのだ。  ここまでか、と凶手は夜空を仰ぐ。  人工の天蓋空(スクリーン)に、作り物の星が瞬いている。  嗚呼。  あの星のどこかに、地球が――人類の故郷があるのだろうか。  意識が遠退いていく。  目の前が霞んでいく。  凶手として生き。  命じられるまま殺して。  最後の最後に飼い主に抗って。  今度は自分の命が、潰える時なのだろう――凶手は、その思いを最後に意識を手放した。
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