オツカレ3

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 3は目を見開いて二重線の向こうに新たな数字の姿を探したが、煙の中から現れたのは真っ青な顔色をした枯れ木のようなマイナス7であった。彼の横にはあの軽薄な一本線がふわふわ浮かんでいて、彼にぴったりくっついて離れない。まるでその生気を吸い取っているようである。  はっと気づいてあたりを見渡すと、そこかしこに人々の姿が溢れて、彼らは新たな出会いのたびにその姿を変貌させ、幸せそうに微笑んだり、悲しみにおぼれていたりするのであった。  彼はぶるっと体を震わせた。少し肌寒い。 「ねえ、そこのきみ」  突然の声に振り向くと、可愛らしい少女が、彼に向かって手をふって、手招きしている。 「さむいんでしょ、家にこない?」  彼女の頭上には他の人がもっていない頑丈な屋根があった。それはルートに閉じ込められた6であった。 「ここは暖かいのよ」  ルート6は不気味に微笑んだ。なんとなくいやな予感がして、首を横に振った。 「そう…残念だわ、」彼女は不敵に微笑んで見せた。「一緒にばらばらに分解されたかったのに」   次の瞬間6は姿を消して、イコールの向こうには彼女の残骸が散らばっていた。  彼は恐怖におののいてその場に膝から崩れ落ちた。いったいこの世界はなんなのだ。僕はこれからどうなってしまうのだ?
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