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僕の寝ている間に、何かとてつもないことが起きてしまったのではないかという、とりとめのない不安を感じた。それはエクセルの計算式よりも、もっと大きなものが崩壊したのではないかという、説明しづらい予感であった。
「先輩」
「昼までに直しとけよ」
「先輩、でも、あのー」
「ちょっと、タバコ吸ってくる」
先輩はそう言い残すと、何かを振り払うように、喫煙室へ行ってしまった。
一人取り残された僕は何かに追い立てられるようにして、エレベーターの前に立ち、ボタンを押し込んだ。このオフィスは確かに、2階の上にあり、4階の下にあるのだ。エレベーターはゆっくり降りてくる…止まれ、止まれ、止まってくれ、お願いだ!
だが僕のそんな思いを嘲笑うように、エレベーターは当たり前のように、僕のいる階を通り過ぎて行った。僕はいよいよ恐ろしくなってきた。もう一度エレベータを呼び寄せた。それからもう一度、もう一度…しかし何度やっても結果は同じだった。エレベーターは素通りしていく。まるで初めから、この階など初めから存在しなかったかのように…
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