〈第4歩〉

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浜辺の最寄りの駅に降り立った。 時間は10時。太陽が本格的に照らしつけて、ジリジリと肌を焦がす。 「うわぁ、人いっぱいだね!やっぱり」 「そうだなぁ」 お盆前の平日だけど、世間一般では夏休み真っ只中。学生連中が多そう、もちろん家族連れもいるが。 「あ…しまった。ここ、日陰がないのかぁ」 バーベキュー場が見えてきた所で、タツミくんが声を上げた。 確かに、すでに人が到着しているテーブルには、持参したのかパラソルやテントが張られているが、他は炎天下に晒されていた。 「タツミくん?パラソルの貸し出しあるみたいだよ。 でも、バーベキューの窓口じゃなくて、向こうのロッカーとかシャワーとかある方の売店だって」 勇実がスマホで検索しながら言った。 「そう?じゃあ、借りに行ってこようかな。 ハジメさん?窓口で受付と食材の受け取りお願いしていいです? ネットで予約したから、俺の名前を言ってくれれば大丈夫のはずなんで。 あ、あとコンロセットも有料で借りてるので、それもお願いします」 「おー。了解」 「イッサ?一緒に来て」 「はぁい。それじゃハジメちゃん、ホノちゃん、また後でねぇ」 そう言って、タツミくんと勇実は遠くにある売店の方へ歩いていった。 しばらく二人の背中を見送っていると、タツミくんが後ろ手で勇実の指先を掴んで… 勇実がそれに気付いて、自分の指先を絡めて… てっきり恋人繋ぎをするのかと思いきや、そのまま、指先で繋がったまま。 ただそれだけなのに、何故か、心がきゅーっと締め付けられた。 堂々とイチャイチャしない、アイツららしくて、逆にドキドキしてしまった。 「…見ちまったなぁ…」 ボソリと言った俺の言葉を聞いて、 「…そうですねぇ…」 ホノカもボソリと呟いた。 「…まっ、仲がいいのはいいことだよな。 さ、俺らも行きますか。つーか、こっちの方が大仕事じゃないか?」 「ふふ。そうかも。私、力持ちなんで何でも手伝います」 「そーだそーだ。キタガワを見事押さえ付けた腕っぷし、期待してますよ?ホノちゃん(笑)」 「わっ。ハジメさん言いましたね?ひどい(笑)」 あははと笑いながら、俺とホノカはバーベキューの窓口へ向かった。 あ、今、お互いにサラッと呼び合えた。 また、俺達の壁がひとつ減った。 …
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