〈第2歩〉

9/10
前へ
/67ページ
次へ
その日から…奇跡のラーメンをもう一度生み出す為に、試行錯誤の日々が続いた。 「にーさぁん、あのラーメン、また作るんすか? 完成出来たら、メニューに載せる?アレ、【きたいわ屋】のイメージにもピッタリだったすよ」 「うーん…アレ、よく出来たよなぁ。 味噌ベースなんだけど…醤油の旨味の分量をちょっとでも間違えると、全然美味くねぇ… くーっ、何で俺、無意識に作っちまったんだろうなぁ」 あーでもない。こーでもない。失敗した分量のメモばかりが増えていく。 もし出来たなら。 今までの味噌を、引っ込めよう。 そもそも、始めこそ出だしは良かったが、時が経つにつれて『やっぱりちょっと、さっぱりし過ぎかなぁ』という、お客の声が目立ってきて、味噌の売り上げが芳しくなかった。 もやしたっぷりさっぱり味噌。勇実の笑顔が見たくて作っていた、思い出のラーメン。 マッサージの学校を卒業して、再びこの商店街の近くに住みだしたアイツは、あの頃よりすっかりキレイになって… あの頃より、タツミくんへの想いを大きくしていた。 俺もいい加減、前に進まねぇと。 きっかけをくれたホノカと、しゃくだけどキタガワにも、感謝。 …
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!

56人が本棚に入れています
本棚に追加