〈第3歩〉

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「え、あれ、なんで??だって、ラジオ…」 今、ラジオから間違いなくタツミくんの声が流れているのに、本人が目の前にいる。 混乱していると、タツミくんがクスッと笑って、 「あ、それ録音です。ちょっと試してて」 言いながら勇実と一緒にカウンターの席についた。 「イサミさん!タツミさん!ようこそっす!この前は出演させて貰って、チョー嬉しかったっす!」 キタガワが騒々しく話しかける。 「ふふ。キタガワくんの登場、リスナーさんもいい反応だったよ(笑)よかったらまた遊びにおいで」 「まじすか!行きます行きます。 あ、いや、にーさんのゲンコツが飛ぶんで、やめときます」 「当たり前だ、仕事しろっつーの!」 キタガワがあまりにもお花畑なんで、たまらず一喝した。 「ふふ。お久しぶりです。今まで顔出せなくて、ごめんなさい」 いっこしか違わないのに、相変わらず丁寧なヤツ。 「おー。今更だけど、お帰りな。 忙しいんだろ?でも、勇実からしょっちゅう話は聞くし、ラジオも聴いてるし、久しぶりな感じは全然しねー(笑)」 「あはは。俺も、イッサにしょっちゅう聞いてるんで(笑) 味噌が変わったって聞いた時は、驚きましたけど」 「うん?ああ。ラジオで美味いって言ってくれて、サンキュな。 …前のヤツでなくて、ほんとにいい?」 戻す気はさらさら無いけど、でも、ファンでいてくれた彼を目の前にすると、そう聞かずにはいられない。 「もちろん。今日も味噌、ください。イッサもいいんでしょ?」 「うんー。あ、ハジメちゃん、ギョーザもつけてね」 キタガワと何か話していた勇実が、ぱっとこちらを振り返って言った。 この二人の、俺に対する空気も変わんねぇな。 …
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