〈第3歩〉

3/7
前へ
/67ページ
次へ
『いつもなら、おなかすいたって言ってる時間ですが…今回の放送は前もって録音したものです。 でも、言っちゃおうかな。おなかすいたなぁ~(笑)』 ラジオのタツミくんはそんな事を言っていた。 「出前もいいけど。ここのラーメンはやっぱりここで食べないとね」 「そーだねぇ」 そんな事を言う目の前のタツミくんと勇実に、味噌とギョーザを渡した。 「ほら、お待ちどおさま。 ったく…オマエらが宣伝してくれたおかげで、味噌しか出てねぇよ。今は冷やし中華の季節なのにさ」 「あははぁ。ごめんごめん。ハジメちゃんの汗が止まんないよね(笑)いただきまーす。 …う~ん、ギョーザの肉汁がたまんなーい」 「いただきますっと…ズルズルッ…はー、うま~い」 ほんとにコイツらは…俺をノせるのがうめぇな。 「イサミさんイサミさん。 アイツ、もーすぐ来ると思うんで。お楽しみに。ニシシ」 「うんうん。 連絡くれてありがとね、キタガワくん」 な。二人が来たのも、キタガワの策略?まさか、ホノカに逢わせる為? 「キタガワ…オマエ、何がしたいのよ。 勇実もよぉ、ヤジウマみたいな事してないで、二人で出掛けてくりゃいいじゃないかよ」 「えっやだなぁ、純粋にハジメちゃんのラーメンが恋しくて来たんだよぉ。 決して、キタガワくんの情報につられたワケでは…ねえ?」 「うん?フフ、そういうコトにしておこうか(笑)」 「そーっすよ。にーさん、気にしすぎっす!」 ウソだ。絶対、ホノカを見に来やがった。 コイツらの妙な連帯感に腹が立つ。 好奇の目で晒されるホノカが気の毒になってきた。 そう思ったところで、引き戸がガラリと開いた。 …
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!

57人が本棚に入れています
本棚に追加