〈第3歩〉

4/7
前へ
/67ページ
次へ
「あっ来たー!ホノカこっちこっち」 「悪ィホノカちゃん、こっち来なくていい!そのまま回れ右して!」 俺とキタガワがギャーギャーと取っ組み合いながら同時に叫ぶのを、ホノカは入口で固まって見ていた。 「あ…の?コンニチハ…」 しどろもどろにホノカが挨拶をすると、 「こんにちはぁ。気にしないで、どうぞ入って入って。 あ、私達、ハジメちゃんの友達です」 「ウンウン。ここ空いてるから、どうぞ?」 勇実とタツミくんが一斉に振り返って、ホノカの姿を目に留めると、同時に手招きをした。 固まってたホノカが更に直立不動になって、目を見開いた。 頬が少しずつ赤く染まっていく… え…その反応は、ナニ? ゆっくりと俺達の方に近づいてくるホノカを、キタガワの頬やらこめかみやらを摘まんだ状態のまま見つめた。 「あ、あの!」 ホノカが声を張り上げた。緊張しているような、こんなホノカを見るのは初めてだ。 ホノカの視線の先は…タツミくん? 「もしかして、ご、後藤樹深さんですか? あ、あの、あの、あの… …いつも聴いてます!朝のラジオ!」 えええーーー!? 勢いよく頭を下げたホノカを横目に、思わず顔を見合わせたのは…俺と勇実。 タツミくんは、ホノカのやたら角度のいいお辞儀に、鳩が豆鉄砲食らったみたいになってる。 ひとりだけ、キタガワがニシシと笑っていた。 …
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!

57人が本棚に入れています
本棚に追加