ブラッディバースデー

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 ブラッディバースデー。  家族がそろい子供の誕生日を祝う。温かく幸せに満ちたそのひと時を一転、血と悲鳴と死で飾る凶悪連続殺人事件の名だ。  誕生日を祝う家庭ばかりを狙い家族全員を殺して楽しんでいる劣悪な殺人犯は、まだ捕まっていない。  昨晩もやられた。壁には色紙で作ったチェーンや花飾り、鳴らして散ったクラッカーの残骸、被っていたのであろうとんがり帽子。  そして、テーブルの上にある豪華なご馳走と、“誕生日おめでとう”と書かれた大きなホールケーキ。  ケーキを囲むようにおばあさんとお母さん、主役の小さな男の子が椅子に座り、床にはお父さん。皆、首を大きく斬られ死んでいた。  白かったケーキもご馳走も、床も壁も天井も大量の血に染まる。部屋に入った途端にむせるような血の匂いと光景に、吐いた。  いつも犯人は立ち去ったあと。犯人逮捕につながる手がかりはなく、チャンスは誕生日を祝う家庭を見張るということだけ。  偶然にも、俺の同僚の知り合いが今日、子供の誕生日なんだという。  昨日の今日で狙いに来るか?俺も同僚も下っ端の警察官だが、賭けてみた。ザーザー降りの雨の中、同僚と現場に向かう。
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