ブラッディバースデー

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 中学生くらいの男の子。俺の顔をジッと見つめると、ポケットから何かを取り出して突き出す。 「あなた、警察?発信機。さっきの奴、ここにいるから捕まえて」 「は?発信機?いや、君……ちょっと待て、おい!おいっ!」  少年は俺の手に、画面の中で赤く点滅する四角い機械を握らせると立ち上がり走り去ってしまった。真っ黒い傘を持って。  その後、俺は手の中で光る発信機が示す場所へと、半信半疑で向かったが。まさか本当に犯人が、力尽きて倒れているとは。  現場に戻ると、依頼者の知り合いは死んでいた。前例と同じように、家族全員の首が斬られ赤の世界。  ただ、1つだけ違うことがあった。俺が犯人を追っている間に、現場の家が火事になって燃え尽きてしまったということ。  犯行時に着火してしまったのだろうと深くは調べられず。多くの犠牲者を出した連続殺人事件は、犯人死亡で幕を下ろす。  気がかりは、あの少年の存在。犯人を殺したのはきっとあの少年だ。発信機といい、あの少年がいなければ解決できなかっただろう。  素直に少年の存在を報告し、探すように上に頼んだのだが。話はいつの間にか、俺の“課長への昇格”へとすり替わっていた。
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