ブラッディバースデー

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 俺、藤代柚樹は28歳手前で警察の1課長に就任。黒い傘を持った謎の少年の存在は、時間の経過とともに消滅。  もしかしたら誰かの犬かもしれない。警察に属さない、警察の手足となる従順な犬。だがあの子は、どう見ても子供。  脳裏にはっきりと焼き付いている、あの美しい少年。雨に濡れたカラスの羽根を思わせるような艶やかな漆黒の髪と、俺を見つめる同じ色の瞳。  あの時の俺は私服だったにもかかわらず、警察だと見抜いた。しかも犯人を斬りつけるなんて、何者だ?  もしも本当に警察の犬だったら。子供にあんな危険な真似はさせられない。やめさせなければ。 「会いたい、な」  あの日とは違う、快晴。覚めるような青を見上げ、俺は呟いていた。  あの美しい少年に、また会いたい。どうしても。会って、話がしたい。あの子はあんなにも、血で汚れていたのに。  濡れていた頬は雨のせいか?それとも――
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