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2時間
結婚を決めたのは、数か月前。まだ僕たちが別々に住んでいたときだ。
理由としてはなんてことはない。
しばらく付き合ってみて、ずっとこのまま一緒にいたい。
それだけだった。
あとは勢いと、シチュエーションを考えるのみ。
夜景の見えるレストランとか、朝日の見える丘の上とか、僕たちにそういうのは不可能だ。
だから、僕たちの関係にふさわしい方法を考えた。
君が寝てから僕が寝るまでの2時間で、僕はプロポーズとして指輪を贈る。
君が起きてから僕が起きるまでの2時間で、君はプロポーズの答えを決める。
それが僕の考えた、僕たちらしい約束の方法だった。
家に着いたのは4時過ぎ。
僕はシャワーで体を洗い、髪を乾かして、眠る彼女にキスをした。
そして箱から薔薇の彫刻があしらわれたリングを彼女の左手の薬指につける。
起きた時、君はどんな顔をするだろう。
僕はそれを見ることは一生できないけれど。
起きた時に一番に見るのは、一生君でいてほしい。
5時になる。
僕は彼女の隣に身体を並べた。
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