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霊能者は中川の存在を気にした。
中川はそれを察してか――。
もしくはこれ以上僕のよからぬ情報を知りたくないからか。
「私は先に食堂にてお茶の用意をば致しますので」
深々と頭を下げると一人先を急いだ。
螺旋階段の下に僕ら2人残されると。
「おっといけない。自己紹介が遅れました。僕は蓮妙寺来羅(れんみょうじきら)と申します」
「キラ……」
「そう呼んで頂いて結構ですよ」
僕は咄嗟にその名を犬の名とだぶらせたが
さすがに口には出さずにいたのだ。
「キマイラは僕の名前から取ってつけたんです」
だけどさすがは霊能者。
僕の考えてることなどお見通しというように
気を悪くした風もなく答える。
「そんなことより先刻の質問にお教えしなくてはいけないですね」
「そうだね。どうして僕が和樹だと分かったか」
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