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「俺の部屋へ来る途中だった?」
「え?」
征司は僕の手首を掴んで愉快そうに
自分勝手な解答を導き出す。
「いや、それは……」
「本当のことを言え――」
まじまじと僕の顔を覗き込む支配者の瞳はキラキラして。
「この前さんざん可愛がってやったのが忘れられないんだろう?ん?」
「違うよ……僕は……」
熱くなった僕の耳にそっと触れた。
「僕はあの日のこと、許さないんだっ……」
「ふうん。そうか」
強がって拒んでも
文字通り僕は裸で晒されているわけで――。
「それじゃ今夜、その身体に許しを請うかな」
「あんっ……!」
征司は人攫いのように僕を軽々その手に抱き上げ
歯並びの良い前歯を覗かせ笑う。
「いやっ……ちょっと待って……!」
このまま王様の寝室へと攫われる
そう思った寸でのところで――。
「今夜も彼は僕の部屋に来る途中だったんだ」
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