episode252 お父様の亡霊

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「俺の部屋へ来る途中だった?」 「え?」 征司は僕の手首を掴んで愉快そうに 自分勝手な解答を導き出す。 「いや、それは……」 「本当のことを言え――」 まじまじと僕の顔を覗き込む支配者の瞳はキラキラして。 「この前さんざん可愛がってやったのが忘れられないんだろう?ん?」 「違うよ……僕は……」 熱くなった僕の耳にそっと触れた。 「僕はあの日のこと、許さないんだっ……」 「ふうん。そうか」 強がって拒んでも 文字通り僕は裸で晒されているわけで――。 「それじゃ今夜、その身体に許しを請うかな」 「あんっ……!」 征司は人攫いのように僕を軽々その手に抱き上げ 歯並びの良い前歯を覗かせ笑う。 「いやっ……ちょっと待って……!」 このまま王様の寝室へと攫われる そう思った寸でのところで――。 「今夜も彼は僕の部屋に来る途中だったんだ」
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