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いつの間にか廊下側に開いた扉が一つ。
その影から現れた悩ましい美形が
「そうだろ?和樹――」
柔らかく僕に問いかける。
「九条さん……」
答える間もなく、九条さんは征司の前に立ち塞がると
拾い上げたシャツで僕の裸体を包んだ。
「また横取りを?」
「何だと?」
「聞こえたろ?最近の君のやり方はナンセンスだ」
栗毛の間から覗く眼差しはいつになく優しくない。
好戦的な物言いで征司を挑発する。
「気に障るなら俺のことも屋上から突き落としたらどうだ?」
「なっ……!」
しかし王様も負けてはいなかった。
「こいつの為なら何度だって人を殺す――あんたそう言ったろ?」
弱みは握ったとばかり食ってかかる。
「善良な羊の皮を被ったサイコパス」
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