episode252 お父様の亡霊

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いつの間にか廊下側に開いた扉が一つ。 その影から現れた悩ましい美形が 「そうだろ?和樹――」 柔らかく僕に問いかける。 「九条さん……」 答える間もなく、九条さんは征司の前に立ち塞がると 拾い上げたシャツで僕の裸体を包んだ。 「また横取りを?」 「何だと?」 「聞こえたろ?最近の君のやり方はナンセンスだ」 栗毛の間から覗く眼差しはいつになく優しくない。 好戦的な物言いで征司を挑発する。 「気に障るなら俺のことも屋上から突き落としたらどうだ?」 「なっ……!」 しかし王様も負けてはいなかった。 「こいつの為なら何度だって人を殺す――あんたそう言ったろ?」 弱みは握ったとばかり食ってかかる。 「善良な羊の皮を被ったサイコパス」
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