episode252 お父様の亡霊

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「やめてっ……下ろして……お兄様……」 僕が腕の中で身をよじるほど 頑なな力で僕を抱きすくめ 「どけよ」 征司は九条さんに肩をぶつけるようにして強引に歩を進める。 「おい!」 これにはさすがに穏やかな彼氏も黙ってはいなかった。 征司の肩を後ろからグッと引く。 「和樹は下ろしてと言ったんだ」 自分の事より僕の意志が無視されたことに意見するあたり。 もっと征司の感情を逆撫でする――。 「そんなに俺のお下がりが欲しいのかよ」 征司は低い声で唸ると 僕の身体をそっと下ろした。 それでも 「横取りか――その言葉あんたにそっくりそのまま返してやる」
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