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霊能者というからもっと胡散臭い男だと思ったら。
年の頃は征司と変わらない――。
「あなたが怪物の飼い主?」
「キマイラはお役に立ちましたか?」
明るい茶髪の爽やかな大学生風情の男がにこりと笑う。
「大変失礼を致しました、蓮妙寺(れんみょうじ)さま。こちらが――」
中川が間に入って僕を紹介しようとするけれど。
「分かってますよ。彼が三男の和樹坊ちゃんだ」
蓮妙寺と呼ばれた男は片手を上げて中川を制し僕を真っ直ぐ見つめた。
「どうして僕だと分かるの?」
「どうしてか――質問にはお答えした方がいいのかな?」
長いまつ毛のキュートな瞳。
僕の心を見透かすようにクスリと笑った。
「ええ」
「どんな酷い答えでも?」
「気にしませんから仰って」
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