episode252 お父様の亡霊

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「淫気です」 「陰気?」 「多分考えてる字とは違うな」 キラは玄関ホールに響く声を気にして僕を手招きする。 「淫乱の淫、淫蕩の淫の字です」 「淫気か――」 それで僕だと分かるとは。 なんて言われようだと思いつつ否定も出来ずに僕は肩をすくめた。 「あなたみたいな淫気を纏っている人そうはいませんよ」 「褒めてる?貶してる?」 「ああ、ごめんなさい」 キラは素直に詫びて茶色い髪をかき上げた。 額がのぞくと別人みたいに賢そうに見える。 「それでね……なるほど……」 「何?」 そんなキラは僕の背後に視線をやって 納得したように一人何度も頷く。 そして言った。 「今この屋敷に起こっている騒動——全容が見えてきましたよ」
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