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「薫お兄様……大丈夫なの?」
薫は虚ろな顔して僕をじっと見ていたものの
夕べのような豹変ぶりはない。
「これはこれは」
キラは早速応接間の中央まで歩み出ると
僕ら兄妹をそれぞれ興味深げに見まわした。
「病んでいますね。でも大丈夫。あなたは感受性が強いだけだ」
薫に声をかけるとキラは労わるように細い肩を叩いた。
今度はすかさず貴恵に向き直り
「ああ、あなたの邪念はすごい」
「何よ、失礼ね」
亀のように首をすくめる。
あとは征司とこちらに気づいた爽やかな紳士を交互に眺めると。
視線を再び僕の上に戻した。
そして言ったんだ。
「いいかな、これから君を丸裸にする」
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