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この状況に黒川はとても満足気であった。
「会社は生き物なのだ、新陳代謝を止めたらすぐに死んでしまうわ。つまるところ、このロボットは全社員の『社員力』を図るためのツールなのだ。本当にいい買い物をしたわ。」
「殺し屋」のおかげか、会社全体の生産性は少し上がったようだった、しかし、当然ながら社員たちの不満はそれ以上に大きく膨らんでいた。社内では無駄口を一切きけないので、社員たちは定時を過ぎるとさっさと会社近くの居酒屋に溜まって愚痴を吐くのが新たな習慣になっていた。
彼らの話題は専ら「殺し屋」と、そのオーナーである黒川に対してだ。
他社に移ろうと真剣に提案する者、「殺し屋」を逆に殺す方法を考える者、黒川を殺そうと物騒なことを言い出す者までいた。ただ実際には飲みの席の戯言で終わらせて、次の日も「殺し屋」にビクビクしながら働くという生活を過ごすだけだった。
次の日、また新たな犠牲者が出た。
彼は「殺し屋」の監視にノイローゼ気味になり、頭上を漂っていた「殺し屋」に対しお茶をぶっかけてしまい、それを他の「殺し屋」に見つかりビビビ!
他の社員たちはこの事態を見守る事しか出来ず、ただ黙々と仕事を続けるだけであった。
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