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「、、、では詳細はまた来月に伺ったときに詰めましょう、毎度!」
取引先の社長との電話を終えると、黒川は思わずニヤついた。
「また大きな取引も入ったし、今期の売り上げも順調そのものだ。どこまで大きくなるのか、我ながら自分の商才が恐ろしいわ。しかも今日は、、倉庫を経由してからここに向かうから、、、あと1時間くらいで到着するか。」
今日は前回の取引の売上金を積んだ輸送車が黒川の元に到着する日だ。勘定を自分の手で確認するのが彼の1番の楽しみであった。
黒川が一段と期待に胸を膨らませた時、建物全体が大きな揺れに包まれた。棚に置いてあるものがいくつか床に落ちるほどの突発的な大きな地震が周辺地域を襲った。
咄嗟に隠れた机の下から這い出て、落ちたものを棚に戻している作業の途中、社長室のドアが勢いよく開き、部下が1人大きな声で慌ただしく報告した。
「社長!大変です!先ほどの地震で倉庫の一部が倒壊したようです!」
突然の衝撃的な報告に、黒川は部下に怒鳴りつけるように言った。
「なんだと、倉庫が!、、、商品は!、、いや、輸送車は無事か!!」
その数瞬後、彼の頭上で機械音声が響いた。
「ビビビ!社員力ノ低下ヲ検知!我ガ社ニトッテ1番ノ財産ハ社員デス!」
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