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僕は綺麗なものしか撮らない。
それが今は人に向かないだけ。綺麗だと思えなくなっただけ。
窓の外を見る。
空は綺麗な青が広がっていて、春特有の暖かい風が吹いてくる。
景色は何も変わっていないのに、どうして僕の周りはこんなにも変わってしまったのか。
…いや、変わったのは僕の方か。
僕は彼らからの仕打ちを何も言わずに受けている。そうすべきだと思うから。
そうすべき存在なんだと自分でも思うから…
。
彼らがどんな経緯で”あの出来事”を知ったのかは知らないけど、きっと彼らを裏切るには十分な出来事だった。
許してもらおうなんて思わない。許されるとも思っていない。それくらいのことを僕はしてしまったんだ…。
「そろそろ5時間目終わるけど、紘ちゃんどうすんの?もう1時間サボっちゃう?」
「…戻る」
「あぁそう、んじゃ道中お気をつけてー」
僕は高坂にカメラを預けて部屋を後にした。
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